岩崎農産

香り豊かで濃厚な味のブラウン種と
ほのかに甘いホワイト種。
そのまま生で食べられるおいしさの秘密は
マッシュルームにストレスを感じさせない
環境づくりにあった。
岩崎農産
浜北市中瀬100
TEL.053-588-4369


岩崎初雄さん

埼玉県出身。農家を継ぐのが嫌でサラリーマンになったものの、
「農家に生まれたのは歌舞伎役者と同じで、限られた人間なのかもしれない」と一念発起、日本一のマッシュ農家を目指している。


 岩崎さんが作るマッシュルームは、浜松はもちろん東京の一流レストランのシェフも惚れ込んだ極上の“西洋マツタケ”である。肉厚でホックリと香ばしいその味の秘密はいったいどこにあるのだろうか。
 マッシュルームは96%が水分で特に農薬の影響を受けやすいため、いかに無菌状態にするかがポイントなのだそう。『岩崎農産』には磁場改善装置のついた大きな栽培室が6部屋あって、気温14℃、湿度90%の室内に無農薬のワラ床をいくつも作り、各部屋ごとで発酵時期をずらしながら育てている。


 室内を覗くと、パートの主婦が慣れた手つきでひとつひとつ丁寧に収穫していた。1日1トンもの収穫されたマッシュルームは別の部屋で冷却して発酵を遅らせ、調理するときにちょうど食べ頃になるよう出荷されていくのだ。彼が自分のマッシュルームに自信を持ったのは、あるシェフのひと言だった。「塩を振ると甘くなる君のマッシュルームは、天然のきのこ本来の味だよ」とお墨付きをもらったのである。 
 いちばん気をつかうのは、〈湿度を抜く〉ことで、マッシュルームは天候によって日々成長の早さが変わるため、時には真夜中に起きて水分補給することもある。しかも、固く身が引きしまったきのこを作るためにはスパルタ式で育てる必要があるため、菌が発生しても共生して生きられるようにコンピュータで室温を調節しているのである。


 「農業は究極のリサイクルです」と言う彼は、マッシュの廃堆肥を畑に戻して大根やホウレン草を作ったり、有機堆肥を地元の主婦に提供している。「畑に来て栽培過程を見てもらいながら生産者から直接買っていただく…それが本来の農業の姿ですよ」。農家と消費者の距離を縮めたいと願う彼の瞳が輝いていた。


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