| ひかり農園 |
農業は人の命を預かるしごと。
そして地球の未来にかかわるしごと。
だから私は有機農法で
やさしい野菜を作っているんです。 |
 |
ひかり農園
浜松市篠原町9427
TEL/FAX 447-4906
鈴木宣仁さん |
『こぼれ種の会』世話人。大学卒業後、映画監督目指して映画の助監督を続けるが、
水俣病の映画の上映会をきっかけに映画界から離れ、14年前に家業の農家を継いで有機農家として再出発。
|
〈こぼれ種の会〉というのがある。遠州地方で無農薬・無化学肥料栽培を手掛けている農業者たちがお互いに情報交換をしたり、親睦を深めたりするのが目的の会で、その世話人を務めるのが鈴木宣仁さんだ。「当時は若手農業者と言ってたんですけど、みんなおじさんになっちゃいましたねぇ」と笑うが、10年前に発足したときは4人だったこの会が今では10人を超えるまでになったのは、この10年で生産者も消費者も食や環境への意識が大きく変わったという事なのだろう。
元々彼は、大学卒業後、映画の助監督の仕事をしていた。だが、たまたま水俣病の映画の上映会に出掛けたのが大きなきっかけとなり、そこで出会った千葉の八百屋になんと転職をしてしまったのである。「実家は篠原で農家をしてましたから、子どもの頃は自然の中でのんびりと過ごしてきたんです。それが、東京でしかも映画界という弱肉強食の世界に入ったものですから、水が合わなかったんですね。映画は撮りたかったけれど、何か違う…という気持ちがちょうど出ていたところだったんです」。 |
|
|
|
その八百屋は有機野菜を販売する店だったため、環境のことや農薬のこと、食についての知識もどんどん増えていった。これからはもっと地球のことを考えて暮らす時代になっていくだろうし、そうなっていかなければならない、ちょうど実家には畑もあることだし野菜を作ってのんびり暮らすのもいいかなぁ…と、そんな軽い気持ちで実家に戻ったのが30歳の時だった。
実家の畑はそれほど農薬を使っていたわけではなかったが、彼が戻ってからは徹底して完全無農薬無化学肥料の畑に切り替えた。口に入れるものだから薬は使いたくないし、化学肥料が土や水を汚すのは確かだ。殺菌剤等の農薬を使って土壌消毒をすると土の中の良い微生物も死んでしまって地力が低下するので、今度は化学肥料で土に栄養を与える…こんな悪循環を断ち切りたいという思いもあった。それに、昔の人は当り前のこととして無農薬無化学肥料で野菜を作っていたのだから、やっぱりそれが一番自然だと考えたのだ。 |
|
 |
農薬は虫や病気を防ぐため、化学肥料は効率的に野菜を大きくするため。では、それをしないとどうなってしまうのだろうか? 「基本的に病気というのは、畑や作物に無理をさせなければそんなに発生しませんよ。その季節に合った野菜を作るとか、株と株をあまりくっつけないで風通しを良くするとか、そうしていれば病気にもならないし虫だってそんなにはつきませんよ」。それでもついてしまう虫に対しては、木酢液などを薄めて撒いたり、土が痩せてきたらは堆肥や米ぬか、菜種カスなどを施す。
有機栽培はやはり手間はかかるし、作物だって、大きいのができたり小さいのができたりと、形のいい野菜をたくさん作ることは難しい。だが、一般的に野菜はきれいで形のよいものが喜ばれるため、農家はそういう野菜を作ろうと、農薬や化学肥料を使うことになってしまうのだ。見栄えが良い野菜がほしいのか、それとも安全で栄養価の高い野菜がほしいのか、消費者はしっかりと意思表示をしていく必要があるだろう。 |
|
|
|
| 「農業は第一次産業のはずなのに、いつのまにか主役の座からおろされてしまったでしょう。でも、農業ってとっても大切な仕事なんです。食べ物は人の身体を作る大切なものですし、土は地球の環境を左右するんですから。もっともっと意識を向けてもいいんじゃないでしょうか?」。たしかに、なにが旬の野菜なのかわからない、どうやって野菜ができているのかわからないという人が増えている。大根が木になると思っている子どもだっているそうだ。野菜に限らず、自分が食べているものがどこでどんなふうにできたのかを知っておくことはとても大切なことだ。そうすれば、その食べ物が愛おしくなり、洗ったり、茹でたり、ダシをとったりすることを、手間だと感じることは なくなるのだろう。 |
|
 |
| 彼が手をかけて育てた野菜は自然食品店などで売られるほか、宅配で購入することもできる。週1回、旬の野菜を詰め合わせて家まで届けてくれて、希望者には他の有機農家の野菜や果物、卵、添加物の入っていない味噌や醤油、豆腐なども一緒に宅配してくれるのだ。1箱2000円と、市販のものよりは1〜2割高めで、野菜の形も不揃いだし、時には種類が多かったり少なかったりバラつきも出てくるが、朝採ったばかりの身体に安心な野菜が食べられると思えば、これはむしろ安すぎるくらい。なにより、化学的な肥料ではなく自然の恵みを一杯吸収して育った野菜は、味に深みがあってやっぱりなにかが違うのだ。 |
|